#4 バリ島発、ジャワ島を西へ進め
バスはひたすら道路照明灯もロクにない真っ暗な森の中の道を走り続けます。植生こそまったく違いますが、地元、北海道の何もない山間部の道道をひた走る感じと似ていなくもありません。目指すスラバヤはまだ先です。
記載内容は2024年7月時点のものです。ご旅行の際は最新の情報も合わせてご確認ください。
目次
【インドネシア共和国(Republik Indonesia/Republic of Indonesia)】
通貨はインドネシア・ルピア(Rpと表記)で、記事中はルピアと記載します。
2024年7月現在のレートは1ルピアが0.0097円強ですので、日本円へは100分の1くらいの換算で、10.000ルピア(インドネシアでは桁区切りがピリオドで小数点がカンマです)で100円弱の感覚ですね。
※桁が多いため千単位で切り捨てて語られる場面がほとんど(10.000ルピアであれば10という具合)なので、それを10倍して日本円換算するのも併用すると早いです。
2024年7月22日 Day.20
ウトウトしては変わらぬ景色を眺め、というのを繰り返しながら、徐々に静まり返って行く車内。いつの間にか眠っていたのか、ザワザワと乗客の起き出す気配に目を覚ますと、景色は一変、ビルの建ち並ぶ都会が見えてきました。
インドネシア第二の都市、スラバヤへ到着
時刻は2:30、バスはプラバヤバスターミナルへと到着。予定より2時間半も早い到着です。
5:00に到着予定でしたので、その後の交通機関に繋げやすい計算だったのですが、またもどうにもならない時間帯の到着です。
バスターミナルは一貫して辺鄙な場所にある上に、いちいちタクシー一択みたいな時間帯に到着させるのは、地元のタクシードライバーとの折り合いでもあるんでしょうか…足下を見た言い値ですんなりとタクシーに乗るような人なら、そもそもバスなんて選ばないと思いますが…。
客引きをかわしながら進むと、ターミナルビル内に雑魚寝集団を発見したので、私たちも近場に陣取って居座りを開始します。
蚊に悩まされながらじっと耐えて時刻は6:00、そろそろ何かしらの交通機関が動き始めていても良い頃合い、Google Mapsを開いてみたところ近くの鉄道駅から6:33発ので市街の方に出られそうでしたのでキャンプを畳んで出発します。
ひとまず荷物だけでも置かせてもらえればと向かったのは駅近のSahid Surabaya、agodaの謎決済によりルピア建てでもっと安かったはずが16.155アメリカ・ドル(約2,589円)/1泊に化けました。
7:00などという常識はずれも甚だしい時間ですが、バックパックを背負いっぱなしでは時間を潰すにも難儀するので、常識はずれついでに図々しく当たって砕けようではありませんか。
フロント「はい、勿論、喜んでお荷物をお預かり致します、ですが…チェックインもできますよ?(ニッコリ)」
部屋は空いていて準備はできていたから、と、無料でアーリーチェックインさせてもらえました。感謝、感謝、大感謝です!
設備はそれはそれはもう快適そのもの、スタッフの対応も気持ちよく、朝食まで付いてくるとあって、久々にサービスの行き届いたシティーホテルに感動。「客」ではなく「お客様」としての滞在は、不満なく割り切ってLCCに乗り続けていて、たまにFSCに乗った時に「やっぱりこっちの方が良いよね」としみじみ思うのと一緒ですね。
2024年7月23日 Day.21
バリ島からジャワ島に入り、ここスラバヤに来ると、世界観がバリ・ヒンドゥーからイスラム教へとガラリと変わりました。
例としては失礼に当たるかも知れませんが、わかりやすく感覚的に例えるならば、日本のコンビニと同じくらい誰しもの徒歩圏内に1つはモスクがある感じで、日に幾度の礼拝の時間にはアザーンが四方八方から流れてきます。
イスラム教に詳しい訳ではなく、あくまで個人の感覚でしかありませんが、女性の肌や髪を隠させるのは余計な劣情に晒させず守るための意味があるでしょうし、体毛処理の習慣や礼拝時に手足を清める作法も公衆衛生面での教えでしょう。日に数度の礼拝も規則正しい生活を意識したもので、断食も胃腸を休める健康管理に根差したものと考えることができそうです。そう考えると健全なあるべき生活の指針としての合理的な教えをベースとしているように思えます。
ただ、近年は一部のイスラム過激派ばかりが報道され、世間の認識ではイスラム教徒とイスラム原理主義とイスラム過激派とがゴッチャになってしまっていそうで、風評被害のような側面もありそうですね。
ところで、風景の他に何より大きく変わる点があります。実はこれがもっとも旅人を苦しめる変化でもあるのですが、とにかくアルコールの入手が本当に困難になります。イスラム教徒はお酒を口にしないので、どのお店にもまったく売っていないのです。
外資系ホテルに併設のBARとか観光客向けのBARでは飲めるのかも知れませんが、そこらの商店で気軽に買えないというのはいちいち敷居(と価格)が高い…。
クレイジージャーニーでもお馴染みのノンフィクション作家である高野秀行さんの著書「イスラム飲酒紀行」で読んだ、アルコールを求めて右往左往する世界がそこにありました。
2024年7月24日 Day.22
休息を取り、洗濯も済ませたところで、中継地スラバヤを出ましょう。
スラバヤ駅は線路の東西にそれぞれ分かれた2つの駅舎があります。前日、チケットを買っておこうと思い、ホテルから近い西側の駅舎のチケットカウンターに行ってみたのですが、こちらは近郊の普通列車のみの扱いらしく、反対側の駅舎へ行くよう教えてもらいました。しかし、連絡通路のようなものはなく、ホームに出る改札しかありません。
カウンターに戻って聞いてみると警備スタッフを呼ばれ、一瞬身構えましたが、その警備スタップの先導でホームへ出て線路を横切って停車中の列車を通り抜け、西側とはまったく別物に近代的な東側の駅舎まで連れて来てもらうことができました。
東側の駅舎の向かって左側にチケットカウンターがあります。
ただ、このチケットカウンターでも出発の3時間前からしか販売しないとのことで、結局、事前予約、座席指定、日本のクレジットカードでの支払い1までできるTravelokaというサイトでチケットを取リました。予約が完了すると予約コードの載ったEメールが届くので、乗車前に駅のチェックイン機で発券して使います。
スラバヤからジョグジャカルタまで
ジャワ中部の古都、ジョグジャカルタへ
列車が来ました。見ての通り、ホーム間の移動は線路を横切り、列車が停まっている隙に通り抜ける前提の設計です。
11:15、定刻通りに発車。インドネシア鉄道は車両だけでなく運行システムも日本のものを使用しているそうで、東南アジアのゆる〜い空気感の中、意外にも時刻表通りに運行されているそうです。
スラバヤを離れると牛と森多め、時折見える田舎町でもモスクは完備。ほどよいエアコン、座り心地の良い座席、適度の揺れ、同クラスの乗客の民度を見ての油断から、完全に熟睡してしまいました。
15:15、本当に時刻表通りにジョグジャカルタ駅に到着しました。
宿泊先は少し離れたところになったため、マリオボロ通りに出てTrans Jogja(バス)へと乗り込みます。
Trans Jogjaは現金3.600ルピア(約35円)でも乗ることができるのですが、e-moneyカードを含めキャッシュレス決済だと細かいお金があるかも気にせずにピッと乗車できて楽な上に2.700ルピア(約27円)の優待料金になり、バリ島で苦労して手に入れた甲斐がありました。
バスを降り、複雑に入り組んだ路地を抜けた先に辿り着いたZEN MOON Hostel、170.000ルピア(約1,649円)/泊でした。
ここは日本人女性(仕事の都合で日本に帰国中)のオーナーと、パートナーのインドネシア人男性が運用管理している宿です。
予約時にクレジットカード情報を入れたので支払い済みだと思い込んでいたところ、到着時に現地払いだと言われ「?」となったのですが、クレジットカードはキャンセル料金の請求用で、チェックインした場合はクレジットカードへの請求はなく現地払いになるという方式でした。予約するだけして来ない人も多いそうで、キャンセル料金の保証としてクレジットカード情報を求める方式になったのだそうです。
一時期、日本でも似たような問題として、居酒屋とかで予約するだけして来ない、大人数で直前ドタキャンなどで営業に大穴が空く空くという問題が取り上げられていましたね。
夕食は職人気質のシブいおっちゃんの焼くサテ。
インドネシアをはじめマレーシアなどでも広く食される東南アジア版の焼き鳥ですが、以前ここジョグジャカルタではじめて食べた記憶からか、ジョグジャカルタにに来ると無性にサテが食べたくなるのです。サテそのものの味付けは日本のタレ焼き鳥とほぼ一緒ですが、ロントンという米をバナナ葉で包んで餅状に蒸したものと一緒に、ピーナッツソースとチリソースをからめて食べるのが甘辛で絶品、サテ10串とロントン合わせて25.000ルピア(約243円)です。
屋台なので確実なことは言えませんが、このドミノピザ近くの路上で17:00頃から営業していました。
2024年7月25日 Day.23
ジョグジャカルタと言えばプランバナン寺院とボロブドゥール寺院が有名で、以前、2012年3月 東南アジア旅行 #4 インドネシア編で行っているので今回は行きません。前回は外国人観光客はほとんどおらず、静かに遺跡感を感じながら見て回れたのですが、今はものすごい混んでるらしいですね。
じゃない方、プラオサン寺院
どこか1つくらいは見に行こうと選んだのはプラオサン寺院。
Trans Jogjaが2.700ルピア(約27円)/人と鉄道8.000ルピア(約78円)/人を乗り継いでプランバナン駅へ。
そこから北西へ20分ほど歩くとプランバナン寺院、北へ30分ほど歩くとプラオサン寺院です。ほとんどの観光客は当然ながらプランバナン寺院へ向かうので、北に向かって歩いていると、現地の方々が道を間違ってやいないかと心配して「プランバナンはあっちだよ」と声をかけてくれました。
プラオサン寺院の入場料は50.000ルピア(約485円)/人と、なかなか強気の料金設定。
見た感じ、修復も進んでいないようであり、観光客も誰一人おらず閑古鳥、資金難で料金を上げざるを得ない?
さほど大きくなく、柵の外からぐるっとおおよそ全貌が見えてしまったので中には入らずに退散しました。
2024年7月26日 Day.24
満室で延泊できなかったので一時的に宿替えします。Ndalem Diajeng、インドネシア料理の朝食付きで19.000ルピア(約1,843円)/泊です。
さほど遠くないと思っていたら、ここは壁の中の地域で壁をぐるっと回り込まないとならず、意外と遠かった…。
とってもオーガニック、神秘の民間療法ジャムゥ
インドネシアに入ってから、排気ガスでしょうか、現地の方でも変な咳をしている人が多いくらい空気が悪く、ここのところ鼻と喉の調子が悪いです。そこで、民間自然療法であるジャムゥを試してみることに。
ジャムゥとはインドネシア版の漢方薬で、植物由来の天然成分を原材料とする薬です。おばちゃんが症状に合わせてウコン汁やさまざまな薬草を煎じた汁をブレンドしていき、薬膳か泥水かって感じの見た目に反し、意外と「飲める」味でした(笑)
ジャムゥ屋さんは、このお店の南側の通路のあたり。
おばちゃんに意外と飲みやすかったと伝えたところ、ニコニコとありとあらゆる原材料をインドネシア語で説明しながら片っ端から試飲させてくれ、1つも理解できませんでしたが、お腹がジャブジャブになるほど飲ませていただきました。料金は1杯分だけの8.000ルピア(約78円)/杯でした。
2024年7月27日 Day.25
疲れもそれなりに溜まっていた頃合い、西洋医学のケミカルにどっぷり浸かった身体にはオーガニックでは対抗できなかったのか、ここに来て39度近く発熱しダウン。
2024年7月28日 Day.26
普段だと熱を数日間は引きずるのですが、上がるだけ上がった熱は嘘のようにスッと引いて全快。もしかしたら発熱は体調が悪化したのではなく、ジャムゥによる好転反応だったのかも?
動けるようになったので、この宿から近かったタマン・サリを覗きに行きました。
水の王宮「タマン・サリ」、入場料は25.000ルピア(約243円)/人です。
かつては王宮に仕えた女性が水浴びをし、王がその様子を見てお気にを選んだとも言われていますが、近年は映えスポットとして有名で、インドネシア女子がKawaii全開のセルフィーを撮っては上げていました。100年後くらいのWikipediaには「庶民もお気にを探していいねした」と書き加えられているかも知れませんね(笑)
2024年7月29日 Day.27
ZEN MOON Hostelが空いたので、再び宿替えして、ジョグジャカルタの残り数日はのんびり。
2024年8月1日 Day.30
今日はジョグジャカルタを出ます。
鉄道は割高だったので、この区間はTravelokaでバスを取り、ジャカルタまで247.500ルピア(約2,405円)/人でした。
ピックアップポイント、どこ?
Trans Jogjaに乗り込みギワンガンバスターミナルへと向かいます、2.700ルピア(約27円)/人です。
途中、バス会社からWhatsAppにメッセージが来ていることに気付きました。どうやら始発から乗る人が私たちだけだったようで、ターミナルには入らず近くのバス会社のガレージから直接出ることにしたので、ターミナルの300mほど北にある市場の近くのガレージに来てくれ、と。
近そうなバス停で降り、ヒントを頼りにGoogle Mapsを調べますが、説明がご近所住まい向けすぎてさっぱり分かりません。
諦めてWhatsAppで電話してみたところ、出たスタッフさんはたまたま日本で働いた経験があり、日本語は15年ぶりだから間違うけどゴメンねという注釈は付きつつも、日本語で詳細を聞くことができました。
先ほどのスタッフさんと無事に合流し、車庫の片隅でスタッフさんの通訳を介しつつ他の職員さん達と談笑しているとバスが到着し、14:45、バスは予定通りにガレージを出発、市内随所でお客さんを拾いながらジャカルタへと走り始めました。
一路、ジャカルタへ
乗客が揃ったあたりで水とサンドイッチ(ラブラブサンドとかランチパック的なもの)が配られ、あとはひたすら走る、走る。
5時間30分ほど走り続け、ジョグジャカルタから島の北に抜けたあたりで食事休憩となりました(チケットに含まれます)。
そして再び、走る、走る。
2024年8月2日 Day.31
3:30、ジャカルタ市内に入ったかなというあたりでバスが停車し、運転手がインドネシア語で何やら言いながら、私たちに降りろというジェスチャー。実は、終着で降りる人が少ない場合など、最後まで行くのが面倒だからといって途中で降ろして終わろうとする厄介なバス会社なんかも存在します。ドロップポイントはまだまだ先なので、着いていないから降りないと対抗するも、変わらぬ調子で「ブスチェン、ブスチェン」と捲し立てます。
よく見ると後ろに別のバスが停まっており、ここでようやく理解。終着まで行く人が私たちだけなので、この先はそこまで行く人が多く乗る別のバスに委譲するから、
そんなドタバタから30分ほどの4:00、出発から13時間15分でジャカルタへ到着しました。
予定より1時間半も早く着いたのは良いのですが、例によって公共交通機関が動くまで1時間少々、ドブネズミの駆け回るこのターミナルで待機し、始発が動き始めた頃合いでMRTとバスを乗り継いでホテル近郊まで14.000ルピア(約136円)/人でした。
ジャカルタの宿はDjuragan Kamar Mangga Besar、204.750ルピア(約1,987円)/泊でした。
内装も新しく十分に清掃されておりスタッフもとてもフレンドリーなのですが、1階の中華料理店を通り抜けた奥のエレベーターから入るという初見殺しの構造と、その中華料理店がゴキブリの温床で部屋までゴキブリ軍の斥候が押し寄せるのが減点ポイントですね。
加点ポイントも上げておくと、すぐ近くのLokasari Squareというショッピングモールの3階に入っているHARI HARIというスーパーマーケットにはビールの取り扱いがありました(笑)
2024年8月4日 Day.33
翌朝早めのフライトを控えているので、空港にほど近いBobopod Airport CBCへ、Google Mapsさんの導き通りにJAKxx系列の無料のミニバンとTransJakarta(バス)を乗り継いて7.000ルピア(約68円)/人で移動。ミニバンは無料ですがe-moneyカードのタッチだけ必要でした。
ここは珍しいダブルベッドタイプのカプセルホテルで、161.840ルピア(約1,567円)/泊でした。
カプセルはオートロックのドアでプライバシーもあり、中も非常に綺麗で、トイレやシャワールームの清掃もひっきりなしに入っていて、空港への無料トランスポートもあります。ここは普通に出張や旅行でのトランジットホテルとしてもオススメできます。ただし、カプセルホテルですので静粛性については客ガチャになります。
明日は移動に明け暮れたインドネシアを出て、また移動です(笑)
海外サイトではその国で発行されたクレジットカードしか受け付けない場合も多く、日本のクレジットカードが通らないことが多いです。 ↩︎