#12 ルアンパバーンまでメコンを下れ、1泊2日スローボートの旅
スコールに打たれながら眺めた第4タイ・ラオス友好橋を渡って第6カ国目ラオスへと入り、1泊2日でのんびりとメコン川を下るスローボートへと乗り込みます。
記載内容は2024年10月時点のものです。ご旅行の際は最新の情報も合わせてご確認ください。
目次
【ラオス人民民主共和国(ສາທາລະນະລັດ ປະຊາທິປະໄຕ ປະຊາຊົນລາວ/Lao People’s Democratic Republic)】
公用語はラーオ語で、タイ語と似ておりタイ語の通用度も高いです。
通貨はキープ(₭と表記)で、記事中はキープと記載します。
2024年10月現在のレートは1キープが0.00669475円ほどですので、15,000キープなら日本での100円強の感覚ですね。
桁が多いため千単位で切り捨てて語られる場面がほとんど(10,000キープであれば10という具合)なので、その7倍弱として日本円換算するのも併用すると早いです。
電源は220V(50Hz)でコンセントはAタイプ・Cタイプ、またはそれらのマルチタイプが一般的です。
2024年10月3日 Day.93
朝食をいただいて宿をチェックアウトし、オーナーさんにเชียงของ/Chiang Khong(以下「チエンコーン」)国境検問所まで送っていただきました。何事も「何時がいい?」と可能な限りこちらの都合に寄り添おうとしていただけるのが本当にありがたい。
チエンコーン国境検問所にてタイを出国し、第4タイ・ラオス友好橋を渡った先のຫ້ວຍຊາຍ/Huay Xai(以下「フアイサーイ」)国境検問所にてラオスへと入国します。
チエンコーンからフアイサーイへ移動
出国審査はあっさりと終了。
第4タイ・ラオス友好橋は歩いて渡ることはできず専用シャトルバスに乗って渡る必要があります。
専用シャトルバスはタイの祝日を除く月〜金曜日の8:30〜12:00/13:00〜16:30が通常料金の20バーツ(約90円)/人、それ以外の時間帯とタイの祝日と土日が時間外料金の25バーツ(約112円)/人と定められていました。が、何でもない平日の営業時間にもかかわらずシレっと時間外料金の25バーツ(約112円)/人を請求されました。
反射的に抗議しかけますが、手荷物料金が小で10バーツ(約45円)/個、大で20バーツ(約112円)/個、自転車で100バーツ(約446円)/台ともあり、前後サンドイッチの大小のバックパックを見逃してくれているのでお互いにWin-Winということで、シレっと25バーツ(約112円)/人ポッキリを支払いました。
先人のブログなどでは割とひっきりなしにバスが行き来していそうな印象でしたが、オフシーズンだからか小さいバンで1時間に1本くらいの運行のようでした。
シャトルバスで第4タイ・ラオス友好橋を渡り、フアイサーイ国境検問所で出入国カードを記入して入国です。悪評も耳にしますが幸い何事もありませんでした。
出入国カードはそこらには置いておらず、入国審査の列に並んで管理官からもらってから記入台で記入後に改めて列に並ぶ感じでした。記入用のペンも壊れているかもぎ取られているかでしたので各自でペンを用意しておくことをオススメします。
入国審査を抜けて最後にツーリスト・フィーとして20バーツ(約112円)/人の徴収がありました。真偽のほどはよく分からなかったのですが、ネット上では100円前後の出入国税についての記事もあり、機能してはいなかったもののQRコードリーダー付きの『っぽい』ゲートまでありましたので本物っぽい感じです。
フアイサーイ国境検問所を出るとロット・ドイサーン(タイで言うところのソンテウ)が待機していましたが、町まで450バーツ(約2,006円)/台とのことで笑い飛ばして歩き始めると、あと2名くらい待てるなら100バーツ(約446円)/人ということなので待つことにします。
オフシーズンな上に時間帯が半端で往来がなく、1時間近く待ってようやく次の組から追加の2名を確保。タイバーツも使える売店や無料の綺麗めなトイレもありますので、暑くて退屈なことを除けば問題なく待てる環境です。
ちなみに流しの乗り合いロット・ドイサーンなら50バーツ(約223円)/人くらいのはずで、最悪は外に出ても道中ですぐ拾える前提で余裕で構えていましたが、実際のところ他にはまったく走っていませんでしたので、ドライバーが折れなかったら町まで10kmほどを歩き通すことになっていたところでした。
フアイサーイ
宿はSomewhere over the river、10.85ドル(約1,599円)/泊でした。
メコン川と対岸のタイとを臨む立地で朝食も美味しかったです。
ただ、これはもう部屋&清掃担当ガチャではありますが、割り当たった最下層の部屋はロクに清掃されておらず窓も壊れたままで、薄暗くカビ臭い湿気のこもった『地下牢』然としたハズレ部屋でした。この最下層の2部屋以外は明らかに作りが違って見えましたので、空き部屋があれば替えてもらうか予約時に最下層は拒否する旨をリクエストしておくことをオススメします。
さて、ここフアイサーイと言えば何と言ってもスローボートです。
ここフアイサーイからປາກແບ່ງ/Pak Beng(以下「パークベン」)を経由してຫຼວງພະບາງ/Luang Prabang(以下「ルアンパバーン」)まで、メコン川沿いのラオスの原風景の中を2日間かけてのんびりと下るボートで、欧米のツーリストを中心に絶大な人気を誇る移動手段でありアクティビティーです。
スローボート乗り場のチケットオフィスで確認すると、ルアンパバーンまでの通しが400,000キープ(約2,678円)/人。時間帯が半端すぎたのか窓口に人の気配はありませんでした。おそらく翌朝の出発前なら普通に開いていそうな気はします。
一方、宿で聞いてみたところスローボート乗り場までのトランスポート付きで700バーツ(約3,120円)/人とのこと。私たちは楽さと確実さを採って宿経由で手配してもらいました。
ここフアイサーイではお釣りもタイバーツで返ってくるほどタイバーツが普通に流通していて、タイ側から来る分には慌ててラオスキープに両替しなくてもまったく困りませんでした。ただし、ラオスキープからの換算でザックリと10バーツ単位か良くて5バーツ単位に切り上げになりがちで、細かく回数を重ねるとジワジワと効いてきますので当然ながらラオスキープの方が有利です。
2024年10月4日 Day.94
朝食をいただいたらチェックアウトを済ませて、近所で昼食用にカオチー(ラオスのSUBWAY的フランスパンサンドイッチ)を確保。スローボートにも小さな売店はあるものの、割高な上に食べ物はスナックかカップ麺くらいしか取り扱いがないそうなので、買えるうちに買っておきましょう。
フアイサーイからパークベンへ移動
8:30、宿のオーナー夫妻の旦那さんの車でスローボート乗り場…の前に、タイヤの空気が抜けていたらしく整備屋に寄ってからスローボート乗り場へと移動。
ギリギリかと思いきや意外にも一番乗りで船に乗れたので、宿から一緒だった一人旅のインド人女性と前方の席を確保しました。ベトナムでは中古バイクを買って縦断した後にバイクも元値より高く売り抜けたなど、なかなかにおてんば(褒め言葉)な旅をされていらっしゃる方でした(笑)
座席は番号が振られつつも各々が座りたい席と勝手に番号ごと入れ替えてしまうので早い者勝ちだと見かけましたが、最初から座席番号すらなく完全な早い者勝ちでした。いずれにせよ早い者勝ちで席が埋まると船尾の機関室の床などで過ごすことになりかねないので早めに乗船しておきましょう。
定刻9:00を過ぎても出発する気配は微塵もなく、時折チラホラと荷物や乗客が乗り込んで来るのみです。
「…! Hi, again!!」
偶然にもチエンラーイからのバスで乗り合わせたフランス人親子との再会となりました。チエンコーンまで来ていた以上、ルート被りまではあるとして日付までも被るとは思ってもみませんでした。
10:15、今さっきチケットを買ったであろう駆け込みの乗客を最後にようやく出発です。
時にスピードボートにブチ抜かれたり、第4タイ・ラオス友好橋をくぐったあとは、メコン川をひた下ります。
セルフィーや景色をSNSに投稿したりといった当たり前の日常から、自然そのものの原風景が拡がるにつれてスマホの電波も弱まってついには圏外。ただただ川と向き合う時間へと移行して行きます。
最初こそ景色に魅入りますが1時間もすると飽きが来てここからが本番です。隣席の方々と談笑する人、ただただビールを飲む人、ヘッドホンで埋もれた曲を聴く人、普段は読まない本を開いてみる人、ただただ無の境地で風を感じている人。
「それって楽しいの?」
否、一言で言って『退屈』が大部分を占めます。
スローボートの本当の魅力は2日間にもわたって何をするでもなく過ごし、心の底から退屈できることにあると個人的に思いました。何をするでもなく2日間も純粋に暇を持て余すというのは、何かと忙しい現代人にとってもっとも縁遠い、逆にもっとも贅沢な時間に他ならないでしょう。
17:00、途中、川沿いに点在する數戸レベルの小さな村々で物資を積み下ろししたり、パッと見は何もない山中で地元の方々が乗り降りしたりを交えつつ、7時間かけて中継地であるパークベンに到着します。
宿はJanh Ya Phone Guesthouse、250,000キープ(約1,674円)/泊でした。
スローボートの乗客が必ず立ち寄り泊まる小さな町という競争原理が働きにくそうな背景から正直あまり期待してませんでしたが、部屋は清潔で設備も十分に機能しておりメコン川に面した景色も綺麗でかなり快適に過ごせました。
それよりも、前夜は宴会でもあったのかオーナー夫妻が潰れていて起き出して来ず、お子さんであろう姉妹が不慣れながらも一生懸命にチェックイン対応してくれたのがとても可愛かった(笑)
パークベン
町には旅行者向けのレストランも多数ありますが当然ながら価格も旅行者向けなので、何か軽いツマミとビールだけでいいやとナイトマーケットに行ってみることにしました。
観光夜市の懸念もありましたが、意外にもローカル向けの小規模なナイトマーケットでした。
そしてここでもフランス人親子と再会。親子連れにもかかわらず行き先がシブいです(笑)
2024年10月5日 Day.95
とても静かな朝で、そこにあるのは川の流れと鳥のさえずりのみ。ニワトリの「コケコッコー」の大合唱も『鳥のさえずり』に含むならば、ですが。
パークベンからルアンパバーンへ移動
8:00、宿をチェックアウトして隣のホステルで昼食用のカオチーを買っていたところ宿泊客らとゴッチャにされたようで、誘導されるがままにあれよあれよという間に送迎車でスローボート乗り場まで送ってもらってしまいました。幸運な事故でした。
昨日の船とは違って、今日の船は前方が対面シートにテーブルが備わっていたりとちょっとイイ船です。早く着いたのもあって席は選び放題でしたので遠慮なく前方の席を確保。ほどなくしてインド人女性も乗り込んできましたので対面側のシートへと誘い3名でボックスを固めます。
9:15、今日はほんの15分遅れで出発となりました。
今日も今日とてスピードボートにブチ抜かれたり、ルアンパバーンから川を上ってきたスローボートとすれ違ったり、川岸の牛や犬を眺める一日です。
川沿いに点在する小さな村々にも立ち寄りますが、昨日のように物資や人の乗り降りというよりは村の女性や子供に食べ物やアクセサリーなど商売の機会を与えるのが主目的のようでした。
無邪気に川遊びをしている子供たちも多く、船を見かけると派手に飛び込んだりとアピール合戦が始まります。応えて欧米人が未開封のスナック菓子をいくつか投げ渡すと、回収が済むなり笑顔で舌を出し中指をおっ立てFサインで煽ってくる悪ガキどもに船内は大爆笑でした。
16:50、7時間半かけて終着点であるルアンパバーンに到着します。
きっちりとした埠頭を想像していましたが、途中の村々よりはマシの域を出ない感じですね。
この2日間のスローボート、飲んで騒ぐことしか楽しみ方を知らないタイプの若い欧米人ツーリスト軍団によってEDMガンガンのパーティーボートに成り下がる噂もありましたが、幸いにも今回のメンツは終始うるさく騒ぐようなこともなくそれぞれの時間を過ごしていました。
ルアンパバーン
見ての通りスローボートは街外れの辺鄙なところに到着し、そこには船の到着に合わせて十分な台数のトゥクトゥクが待ち構えていており、乗客はそれに乗って中心街まで出るしかありません。
大半の欧米人ツーリストは誘われるままにトゥクトゥクに乗り込んで行きますが、こういう場面では足元を見た料金設定が付き物です。
事前調べではチケットオフィスで公定価格50,000キープ(約335円)/人でしたが、チケットオフィスは開いておらずドライバーの言い値は100,000キープ(約670円)/人。値上がりしたにしても倍というのはさすがに考えにくいです。
お馴染みのインド人女性、2日間とも近くに座っていたオランダ人男性&チェコ人女性のカップルも同様に料金に納得できていない様子で居残っていましたので、パーティーを組んで対抗しキッチリ50,000キープ(約335円)/人で決着しました。
ルアンパバーンでの宿はChitlatda Bila House、365,000キープ(約2,444円)/泊でした。市内のアクセスも良く朝食付きもありがたい!
ちょうど近場のナイトマーケットが始まっている頃かと思うので、宿近辺の偵察がてら散策して行きましょう。
行ってみると中国人・中国人・中国人・中国人・中国人。ラオス中国鉄道の開通で中国人観光客がなだれ込んでいるんですね。メニューなども英語より中国語の併記が目立っていました。
出店では「
2024年10月6日 Day.96
移動明けはゆっくりしたいところでもありますが、ラオスにビザ免除で滞在できるのは15日以内でスローボートで飽きるほどゆっくりしたので動いて行きましょう!!
マホート(象使い)体験
タイの観光地でも象には乗れたりしますが、ここラオスのルアンパバーンでは『象乗り』ならぬ『象使い』体験ができます。
括り付けられた椅子に座って囲いの中を一周とかではなく、裸馬状態の象に体ひとつで直接またがって自然を歩むワイルドな体験になります(ので、小さなお子さんやご高齢の方々にはオススメできません)。
Manifa Travelで数あるコースの中から半日コースをネット予約、カード決済手数料込みで32ユーロ(約5,141円)/人でした。ツアーにはホテル送迎・象使い体験・ランチが含まれていて、曜日より日本語ガイド対応も可能なようです。
8:30、宿に送迎車が来てピックアップ。中国人の若いカップル、中国人女性1名、日本人の若い夫婦、日本人の中年男性2名、そして私たち2名、合計5組9名での混載ツアーです。
8:55、ボートに乗り換えて2時間ほどのメコン川クルーズ。船縁から川面を眺める中国人女性が絵になる感じだったので写真を撮って(事案!?)AirDropしてあげると喜んでくれ、どうやら日本人の醸し出す他人様とはお互い不干渉という空気感に遠慮していたようで、お喋りが止まらなくその子を中心にお互いに撮影しあったりと場も和んでいったのでした。
10:50、サーンハイ村に立ち寄ります。ここではラオ焼酎の製造工程の解説を受けつつ望むままに試飲させてもらえます。押し売りがなくサラッと終わってしまうので美味しかったのに買いそびれてしまったほどです。
11:20、エレファントキャンプへと到着。施設側で用意されている服に着替えます。貴重品などは鍵付きのロッカーに預けられます。
11:40、着替えが済んだら本日の相棒となる象に餌を与えてご挨拶(必ずひとりにつき一頭の象が割り当たります)の後、いくつかの象への命令を学びます。
命令 | 意味 |
---|---|
パイ | 進め |
サイ | 左へ |
クア | 右へ |
マプローン | 座れ |
ルーク | 立て |
ホーウ | 止まれ |
トイ | 後退 |
ジャップアウ | 拾え |
ヤーヤー | ダメ |
ソーン | 膝を曲げろ |
パイ・サイ・クア・ホーウ・ヤーヤーの5つだけ覚えられればほとんどの場面に対処できますし、忘れたり象が言う事を聞かなくても本職のマホートがサポートしてくれるので大丈夫です。
サラッと何度か復唱するのみで座学は終了で、すぐに実践となります。
実際に象にまたがってみるとやっぱり高くて肩甲骨の動きで左右に振られ、最初は振り落とされないようにとただただ必死なのですが、揺れへの合わせ方を体得するにつれ楽しむ余裕も出て来ます。象も人がバランスを崩しそうになると耳でグッとサポートしてくれます。
山道を通り森を抜け小川を渡り坂を上り下りとコースも変化に富んでいて、ハイライトは一緒にメコン川に入って水浴びです。マホートによる(私たちが教わっていない)命令「ブーン」に応えて象が何度も何度も鼻で水を噴き上げ、みんなでずぶ濡れになります(笑)
このあとは同じ道を戻ってライドは終了となり、お湯シャワーを浴びて着替えたらビュッフェスタイルのランチをいただきます。ドリンクもフリーでビールもおかわり自由です!!
食後に象の生態や推定体重の算出方法などを少し学んで半日体験コースはここで終了。14:00過ぎに送迎車でキャンプをあとにして、15:00過ぎには宿に帰着となりました。
無料オプションとして希望者には修了証を発行してもらえますので、ガイドさんに希望する旨とWhatsAppで写真を送っておくと夜にはオフィスで受け取れます。
プーシーの丘
象使い体験の修了証の発行を依頼したので、時間潰しの所用時間的にも経路の方角的にもちょうど良さそうなプーシーの丘に行ってみることにしました。
入場料は30,000キープ(約201円)/人となかなか強気の設定。
古都ルアンパバーンを感じさせるナムカン川サイドが定番ですが、川と山並みのメコン川サイドの方が個人的には好きでs…って、もう頂上が中国人・中国人・インド人・中国人・中国人。芋洗い状態で身動きが取れないほど混み合っていて、そこら中からスマホの手がニョキニョキ伸びて景色どころじゃない(笑)
下りた先がちょうどナイトマーケットですので、そこで時間を潰しながらオフィスに向かい修了証をゲットしたのでした。